世界遺産_蘇州古典園林 中国庭園

世界遺産_蘇州古典庭園 園林

1.登録基準

中国の江蘇省(こうそしょう)東部にある蘇州の園林(えんりん)は世界遺産リストに「蘇州古典園林(Classical Gardens of Suzhou)」という名前で登録されています。

世界遺産リストに登録されるためには、「世界遺産条約履行のための作業指針」に示される登録基準の内、少なくとも1つ以上の基準に合致する必要があります。

蘇州の園林は登録基準ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴを満たし、世界遺産リストに登録されました。

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基準 ⅰ.(人類の創造的才能を表現する傑作)の適用について

筆で描かれた伝統的な中国絵画に見られるような中国の職人技や芸術性の影響を受けた蘇州の古典園林は、洗練された伝統的な中国文化を体現しています。

芸術的才能の極致を具現化したこれらの園林は、「古代中国の最も創造的な園芸の傑作」と評判です。

この点が基準ⅰ.に該当するとして、評価されました。

基準 ⅱ.(人類の価値観の交流があったことを示すもの)の適用について

2000年もの時を経て、蘇州の園林のような独特で規則的な造園形態が形作られました。

これらの構想、設計、建設技術、そして芸術性は、中国だけでなく世界中の造園技術の発展に大きな影響を与えました。

この点が基準ⅱ.に該当するとして、評価されました。

基準 ⅲ.(文化や文明を証明する珍しい証拠となるもの)の適用について

蘇州で栄えた古典的な園林はもともと、古代中国人の「人間にとって理想的な生き方は自然と一体となることである」という思想に基づいています。

庭園に自然を再現しようとした蘇州の園林は、そんな古代中国の知識人の知恵と伝統を現わすこれ以上ない証拠となっています。

この点が基準ⅲ.に該当するとして、評価されました。

基準 ⅳ.(時代を表す建築物や景観の見本となるもの)の適用について

蘇州の園林は11~19世紀の長江デルタ地帯の文化の見本となっています。

建築や造園に見られる哲学、文学、芸術、職人技術が、この時代の社会、文化、科学、技術の発展をよく反映しています。

この点が基準ⅳ.に該当するとして、評価されました。

基準 ⅴ.(ある文化を代表する集落や土地利用の見本となるもの)の適用について

蘇州の古典園林は中国の伝統住宅と芸術的な自然が融合した顕著な例です。

これらの庭園はこの時代のライフスタイルや習慣などをよく表しています。

この点が基準ⅴ.に該当するとして、評価されました。

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2.遺産価値総論

蘇州の園林の遺産価値は「中国の古典的な庭園の傑作であること」です。

中国・江蘇省の東部にある蘇州は、長江の下流域のデルタ地帯に位置する水の豊かな街です。市街地には多くの水路が走り、1200年代にこの地を訪れたマルコ・ポーロからは「東洋のヴェネチア」と称賛された美しい街並みを誇ります。

この豊かな水を利用した池が中心となった庭園が蘇州の園林の特徴です。

蘇州の園林では、小さな空間に自然景観を再現しようとする縮景(しゅくけい)のかたちが採られており、限られた空間で自然景観を巧みに表現するために、様々な手法が採用されています。

例えば、水、石、植物、文学的・詩的な意味を持つ様々な建造物を基本的な構成要素とすることで、ひとつの限られた居住空間の中を自然界の縮図となるように意図しています。

このようにして造られてきた蘇州の庭園群はこの分野における大傑作として世界中に知られています。

3.歴史

蘇州の庭園の歴史は紀元前6世紀頃まで遡ります。当時の蘇州は呉と呼ばれる国であり、その国王によって王室に狩猟庭園が建てられました。狩猟庭園とは、狩猟用の獲物を放し飼いにした庭園であり、これが蘇州の庭園の起源とされています。

4世紀頃、その狩猟庭園に触発され、富豪による個人の庭園が出現し始めます。富豪たちは自分の富の象徴として、邸宅だけでなく庭園までも造るようになったのです。こうした風潮によって蘇州では私的な庭園が多く造られるようになりました。

これらの庭園の数は増え続け、18世紀頃にピークを迎えたとされており、最盛期にはその数は200以上にのぼりました。現在でも50箇所以上の庭園が残っています。

構成資産となっている9つの庭園も多くは16~18世紀頃に造られたものです。

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4.構成資産の概要

蘇州の園林の構成資産は9箇所です。1997年に4箇所が、2000年に5箇所が追加されました。

(1)留園(りゅうえん)[1997年登録]

留園は1595年に造られた庭園で、敷地面積は約33,000㎡です。中国四大名園・蘇州四大庭園の一つに数えられており、建造物の数が登録された古典庭園の中で最も多いというのが特徴です。

また、近くの太湖(たいこ)で採れる高価な太湖石が使われた築山(つきやま)も有名で、中でも高さ約6.5mの「冠雲峰(かんうんほう)」は江南一の奇岩として称えられています。

(2)拙政園(せつせいえん)[1997年登録]

拙政園は1509年に造られた庭園で留園と同じく中国四大庭園・蘇州四大庭園の一つに数えられています。

拙政園は蘇州の固定庭園の中で最大の面積を持つのが特徴で、その面積は約50,000㎡にも及びます。池が中心となっており全体の約6割を占め、優雅な楼閣群が庭園に彩りを与えています。

(3)網獅園(もうしえん)[1997年登録]

網獅園は中国の南宋時代(1127~1279年)に造られた庭園で、面積は約6,500㎡です。

庭園の面積はそこまで大きくはありませんが、精巧かつ優雅であり、配置が整然としている庭園として知られています。

池に沿って建てられた建物は池の水面と調和がとれており、高くて大きな建物は木や石の陰に隠れるなど、建造物全体の配置は非常に巧妙です。

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(4)環秀山荘(かんしゅうさんそう)[1997年登録]

環秀山荘は中国の清代(1644~1912年)に造られた庭園で、面積は約2,000㎡です。

庭園は築山と家屋が3/4を占め、水面面積が1/4を占めており、築山を主とした構成になっています。その庭園の景色はあたかも山水画を見ているようで、蘇州の古典庭園の宝と言えます。

(5)滄浪亭(そうろうてい)[2000年登録]

滄浪亭は1044年に造られた庭園で、蘇州の庭園の中で最も歴史の長い庭園です。

面積は約10,000㎡で、中国四大庭園ではありませんが、蘇州四大庭園の一つです。

全体の配置が自然的で調和がとれており、古風で素朴な景色が特徴で、技法よりも自然の美を求めた庭園であったことがわかります。

(6)獅子林(ししりん)[2000年登録]

獅子林は1342年に造られた庭園で、面積は約10,000㎡です。中国四大庭園ではありませんが、蘇州四大庭園の一つです。

園内には変わった形の岩が多く、それらが獅子のような形状をしているため、「獅子林」と呼ばれています。その名の通り、蘇州の園林の中で最も変化に富み、複雑な築山が特徴です。

(7)芸圃(げいふ)[2000年登録]

芸圃は中国の明代(1368~1644年)に造られた庭園で、面積は約4,000㎡です。池が中心となっており、配置が簡潔・開放的であることが特徴です。

また、池のほとりにある乳魚亭と言う建物は明代の建造物で、蘇州の園林の中で最も古い建造物とされています。

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(8)耦園(ぐうえん)[2000年登録]

耦園は清代(1644~1912年)の初期に造られた庭園で、面積は約8,000㎡です。独特な配置が特徴で、邸宅を中心として、東側に2つの庭園があります。

また、黄石と言う石を使用した築山も特徴的です。

(9)退思園(たいしえん)[2000年登録]

退思園は1885年に造られた庭園で、面積は約4,000㎡です。退思園は市街地にある他の庭園と異なり、蘇州の郊外にあります。

退思園と言う名前は「官として仕える場合は誠心誠意を尽くして皇帝に奉仕し、また官から退く場合は過去を反省し過ちを補う」という意味から名づけられたとされています。

建物が水面に浮いているかのように配置されているのが特徴です。

[参考書籍] すべてがわかる世界遺産大辞典(上)(世界遺産検定事務局)

[参考HP] UNESCO World Heritage centre 
https://whc.unesco.org/en/list/813

Wikipedia 蘇州古典園林
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%98%87%E5%B7%9E%E5%8F%A4%E5%85%B8%E5%9C%92%E6%9E%97

中国の庭園
http://abc0120.net/class/0024.html

蘇州古典園林の魅力
http://www.e-asianmarket.com/suzhou/suzhou49.html

世界遺産_中国の世界遺産
https://www.w-heritage.info/article/03_China/central/04_suzhou.html

阪急交通社_世界遺産
https://www.hankyu-travel.com/heritage/china/suzhou.php

世界遺産オンラインガイド
https://www.hankyu-travel.com/heritage/china/suzhou.php

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